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コラム:歩行にまつわるえとせとら

一日平均歩数

 厚生労働省のまとめた令和元年『国民健康・栄養調査結果の概要』によると、

”歩数の平均値は男性で 6,793 歩、女性で 5,832 歩であり、この 10 年間でみると、男性では有意な増減はなく、女性では有意に減少している。20~64 歳の歩数は、男性 7,864 歩、女性6,685 歩であり、65 歳以上では男性 5,396 歩、女性4,656 歩である。”

令和元年『国民健康・栄養調査結果の概要』

ということです。ここに記されている数値は平均値ですが、どのような印象を持たれましたか? この調査は平成24年以降一日平均100歩未満または5万歩以上の方を対象から外しているということでしたが、それ以前の3年(平成21~23年)の一日平均100歩未満または5万歩以上の方を含めた値と比較してもそれほどの違いはないように見受けられました。

 歩数に影響しやすいものとして居住地や仕事の内容が考えられます。私個人の見解ですが、公共交通機関が充分でない地域での生活には車やバイク、自転車など移動手段が必要となり、結果一日の平均歩数は少なる傾向があるのではないでしょうか。

 斯く言う私も、近くに買い物に出かける際もつい車を使ってしまう派です。100メートルほど先のコンビニに牛乳を買いに行くときでさえ車で出かけてしまいます。また、PCによる仕事の時間が増えると一日の平均歩数が極端に少なくなることも自認しています。

SHOE DOGより

 この記事を書くにあたり、人は生涯でどのくらい歩くのか興味がわき、調べてみました。多くの方がシューズメーカNIKEの創業者フィル・ナイトの自伝『SHOE DOG』を引用され説明されていらっしゃいました。

人が1日に歩く歩数は平均7500歩で、一生のうちでは2億7400万歩となり、これは世界一周の距離に相当する。

『SHOE DOG』 より

 数字をつぶさにみていくと首をかしげてしまう一文ではあります。2億7400万歩を一日平均である7500歩で割ると36533日となり、これを365日で割ると約100年となります。つまり100年間、毎日7500歩の歩行を維持し続けなければ 2億7400万歩は達成することができません。また、地球一周が約4万㎞であることから、その距離を歩数 2億7400万歩 で割るとその歩幅は約14.6㎝となってしまいます。

 つまりこの一文は、人は一生をかけたくさん歩き、その距離はとても長いくらいに受けて止めるのが適当なのかもしれません。もう少しだけ著者に寄り添うならば、生涯をかけた世界一周という長旅を支えるシューズメーカーの矜持から生まれた一文であると理解すべきなのでしょう。

健康日本21

 では、どのくらい歩いたら良いのかと思われる方もいらっしゃることでしょう。厚生労働省のまとめた「健康日本21(第二次)」の目標によると、

「日常生活における歩数の増加」
目標値: 20~64 歳 男性 9,000 歩 女性 8,500 歩
65 歳以上 男性 7,000 歩 女性 6,000 歩

となっています。

 先述の『SHOE DOG』の一生の歩数について、「健康日本21(第二次)」の20~64 歳目標値の9000歩で考えてみます。すると83.4年となり、現実的な数値に近づきました。現実的な年数になったとはいえ、最期まで健康で歩くことができる必要がありそうです。

 「健康日本21(第二次)」 は大きく9項目からなり、その中の身体活動・運動の欄に目標歩数が明記されています。健康的な生活を送るために歩行だけの目標が達成されれば良いわけではありませんが、日々の運動として健康増進のために現状より三割多く歩きましょうという目標設定となっているようです。

 動ける方にとって歩行を3割増やすというのは少し気を付ていれば達成できる目標だと思います。私自身を振り返っても意識して歩くように心がけた日は1万歩ほど歩いています。しかしながら、歩くことに不安を感じている方や、加齢に伴い歩くことに消極的なってしまっている方に「3割増しに歩きましょう!」というのは酷な話です。

 curaraはそういった方々の不安を解消するお役に立ち、歩くことへのモチベーションの維持につながる存在となることができたらと思っています。要介護となる前段階、フレイル予防に役立てていただけたら健康日本21の目標達成に近づくことができるのではないでしょうか。