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《第6回(最終回) ロボットリハビリテーションの課題と展望》
AssistMoionのメルマガにて連載中の田中恩先生のコラムを掲載しております。
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前回は、ロボットリハビリテーションはどのように実施されるのかについてお話しました。約半年にわたる連載も最終回となります。今回はロボットリハビリテーションおよび先進テクノロジー等の課題と今後の展望についてお話します。
1.改めて…ロボットリハビリテーションの課題
これまでお話ししてきた通りロボット等の先端テクノロジーを通常のリハビリテーション(理学療法等)と併用することにより練習(治療)効果が高まることは多数報告されています。私の見聞の範囲でもセラピストだけでは実施できない練習(治療)環境を提供できることは間違いありません。
しかしながら、今一つロボットリハビリテーションの定着が進んでいません。その要因の1つがロボット等を使用しなくても通常業務は成り立っているということです。改めてお話するまでもないことですが、病院・施設としてはセラピストを必要数配置すれば診療報酬(20分1単位2,000円前後)・介護報酬を算定できますので、質を問わなければ若いスタッフを揃えればコスパが良いわけです。また、診療報酬や介護報酬の改定の度にコストバランスを考えなければならずリハビリテーションにおいて付加価値を提供することが難しく(厳しく)なっている状況にあると思われます。この他の要因としてロボット等の導入コスト、使い勝手も関係しています。
(*介護ロボットの現状と課題については、「理学療法 Vol.41 No.7」へ執筆させていただきましたのでこちらもご覧いただけますと幸いです。)
2.改めて…ロボット等の先端テクノロジーを活用する理由
現在、ロボット等を使用することで算定できる診療報酬はわずかであり、ロボットがあるから患者(利用者)が増えるとは言い難いです。
ではこのような厳しい状況にあっても、何故ロボット等を積極的に導入している病院・施設があるのでしょうか?その理由は(私的な見解になりますが)、少しでも「良い医療・介護を提供したい」という思いと「スタッフに新しいことにチャレンジして欲しい」という人材育成目的に加え、「他の病院施設との差別化」を含めた先行投資、その結果として「リハビリテーションの効果がより高まる」ことを期待しているからだと思います。
導入につながることを期待して補助金について触れたいと思います。AssistMotionのメールマガジン(No.85)でも紹介された内容と重なりますが、都道府県ごとに実施されている「介護テクノロジー導入支援事業」やその他の補助金を活用することで導入費用を抑えることができます。導入資金として利用できる補助金をリサーチすることをお勧めします。
3.改めて…ロボット等の先端テクノロジーのススメ
ここで質問です。実習の時の動作分析や歩行分析についてどんな思い出がありますか?スーパーバイザーから色々と指導を受けて…調べて…やり直して…など苦労した方も多いのではないかと思います。
ところが今はAIによる分析が可能なアプリがいくつかリリースされています。アプリを起動して動画を撮影すればマーカーレスで動作分析ができるようになっており、マーカーを使用した動作解析装置に近づいています。一般病院や通所事業所で使用するには十分なレベルにきています。時間も労力も軽減できるのですから利用しない手はないと思います。少しずつ活用することをお勧めします。
さて、6回にわたりロボットリハビリテーションについてお話させていただきました。私の経験論で偏りだらけのお話でしたがいかがだったでしょうか?お付き合いいただいた方にとって少しでもお役に立つことがあれば幸いです。
最後になりますが、令和になって7年目に入りました。リハビリテーションも新時代に入らなければならないと思います。ロボットリハビリテーションにはまだまだたくさんの課題がありますが、テクノロジーを活用したリハビリテーション(理学療法・作業療法等)が広がり定着する一年になることを願いつつ終わりにしたいと思います。
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