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《第5回 ロボットリハビリテーションはどのように実施されるのか(後編)》

 AssistMoionのメルマガにて連載中の田中恩先生のコラムを掲載しております。

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 前回は、ロボットリハビリテーションを実施(開始)するまでのお話をしました。今回は、ロボットリハビリテーションを開始してからのお話をします。

 ここでは、何らかのロボット等の先進的な機器が導入されているという前提でお話を進めますのでこの点ご了承ください。

 ロボットリハビリテーションを継続的に実施している病院・施設の運用状況をみるとロボットリハビリテーションのチームを作りそのメンバーがロボットの操作に習熟しているところが多いようです。せっかくなので全員使えた方が良い!と広く浅く広げていくのはあまりお勧めではありません。また、チームを継続的に運用する為に根気強く取り組むことができるメンバーを発掘し育成することが必要となります。

 関連して(主に管理者の方へのメッセージとなりますが)ロボットをリハビリテーション・ケアに活用することだけでなく、人材育成に活用するということもできるかと思います。現在導入しているロボット等の仕組みを掘り下げ、ヒトのどういう機能に介入しようとしているのか?ということを知ることから始め、ロボット等の機能を理解することを通して、関連する脳機能や運動学習、運動制御について学びを深めることにも活用するということです。

 curaraを例にとるとcuraraは、人とロボットがお互いにリズムを合わせることで歩き方を学習する制御法である「同調制御法」を基本技術としています。同調制御法は、①CPGのモデルを用いて人の歩行リズムに合わせることができる。②歩行のパターン生成を行うことができる。③歩行パターンを目標軌道として軌道制御することにより装着者に関節の動かし方を提示できる。とされています。セラピスト間ではよく耳にするCPG(Central Pattern Generator)が登場します。curaraの詳細を理解することは難しいと思いますが、CPGについて復習したり、CPGを賦活するにはどうすればよいか?などを考えるきっかけになります。また着眼ポイントを変えればさらに学習の機会は広がると思います。最終的に患者・利用者さんのことを第一に考え最適なリハビリテーション・ケアを提供できる人材を一人でも多く輩出し活躍の場を提供することが望まれます。

 話の流れが変わりますが、ロボット等を導入されている病院・施設で働くことができるということはとてもありがたいことです。使いたくても使えない人もたくさんいます。ロボット等が導入されている病院・施設の方、特に若手のセラピストの方々には、せっかくのチャンスですのでロボット等のテクノロジーを用いたリハビリテーションに積極的に関わってほしいと思います。ロボット等を活用することでセラピストの介入だけでは解決できない問題を解決することにつながるかもしれません。とはいえ、ロボット等はあくまでも補助的なものですから、セラピストの介入が必要ですので、どのように介入するか?ということを考える必要があります。ロボット等のテクノロジーを活用できるようになると毎日の臨床活動が楽しくなってくると思います。

 2回にわたりロボットリハビリテーションはどのように実施されるのかというテーマで、実施までの課題や現場教育についてお話しました。ロボット等のテクノロジーが導入されなければ話が進みませんのでこのような話になりましたが、少しでも多くの病院・施設で新たな取り組みが進むことを期待しております。チーム作りや運用についての疑問や相談がございましたら、ご一報いただけますと幸いです。(npo.jrrcm@gmail.com)  次回は、ロボットリハビリテーションの課題についてお話します。


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